神経発達症外来とは

神経発達症外来イメージ画像

神経発達症外来は、お子様の発達に関し、予約制で様々なご相談をしていただける専門外来です。初診の対象は就学前のお子さんから小学生としております。子供達は一人ひとりが違った個性を持ち、学ぶスピードや興味の対象も様々です。しかし言葉の遅れ、集団行動の苦手さ、手先の不器用さなどを抱えていると日常生活や学習面で困りが出てくることがあります。発達につまずきがある場合は、早期に見つけてあげることで、お子様が困難な状態になることを軽減し、二次的な問題が起きてしまうことを防ぐことにもつながります。当院では、お子様のご家庭の様子や園や学校からの情報の把握後、心理・発達面の状態を評価し、支援や治療の方針をご家族と一緒に決めていきます。お子さんの状態や家族のニーズに合わせて、必要な治療やリハビリテーションをおこなっていきます。
神経発達症外来には子育て経験のあるスタッフや、子供たちと関わる仕事を経験したスタッフも多く、気軽に相談できる雰囲気となっています。保護者の方の心が少しでも軽くなりお子様が笑顔になるお手伝いをさせていただければと考えています。

神経発達症
(発達障害)とは

神経発達症とは発達障害とも呼ばれることもあり、脳の機能障害を指して何らかの病気であるということではありません。発達における「特性」ととらえることが重要で、情動、学習能力、自己制御、記憶などの様々な知的活動に影響があらわれます。

その特性によっては、本人の努力不足やわがまま、親のしつけなどの家庭環境に問題があると誤解される場合もありますが、あくまで脳の機能障害の問題であるということができます。そのため、周囲の適切な理解と支援が、神経発達症では大切になります。

神経発達症の主なタイプ

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)は発達障害の一つで、これまで自閉症、アスペルガー症候群など、様々な名称で呼ばれていましたが、本質はひとつの障害だととらえ、自閉スペクトラム(連続体)と呼ばれるようになりました。ASDは男女ともに起こりますが、とくに男子で多く出現します。原因はまだよくわかっていませんが、決してご家族様の育て方が直接の原因というものではありません。

ASDの特徴は大きくわけて二つあります。
ひとつは対人交流のコミュニケーションが苦手とみられてしまうこと、もう一つは強いこだわりやパターン的な行動、感覚過敏があることです。

ASDには次のような症状があります

  • 目を合わせようとしない
  • 言葉が遅い
  • あまり表情に出ない
  • 名前を呼んでも振り向かない
  • 身振りでの表現(ばいばいなどの挨拶)をしない
  • 指さしをしない
  • よく聞き取れないような独り言をいう
  • 相手の言葉をオウム返しする(エコラリア)
  • 一人遊びが多く、ごっこ遊びをしない
  • 行動がマイペースだ
  • 相手の気持ちや立場がわからない、空気を読めない
  • 行動などに十番を守るなど、強いこだわりがある
  • いつもの習慣が変わると受け入れられない
  • 新しいことに慣れることが苦手
  • 自分の興味がある範囲が非常に狭い
  • 音、味、臭いなどの身体感覚が非常に鋭い、または鈍い
  • ちょっとしたことでもかんしゃくを起こし、周囲を攻撃する など

ASDの主な療育方法

作業療法
作業療法士による手の運動や操作能力をアップさせる療育
言語聴覚療法
言語聴覚士によるコミュニケーション能力や、聞き取る力のアップ、飲み込み方(口や舌、喉の動かし方)に関する指導・療育
ソーシャルスキルトレーニング
臨床心理士などの指導員の下、少人数のグループで、人との接し方や集団生活について学ぶ療育

これらの中でも、ASDのお子様では、言語聴覚療法とソーシャルスキルトレーニングが大切になります。幼児期であれば、個別や小集団で、言葉の遅れに対するサポートと、対人コミュニケーションや集団生活に対するスキルを身に付けられるように支援していきます。学童期であれば学習の進行度合いによって特別支援教育を受けるなどし、社会生活スキル支援の時間で学ぶ場合もあります。こうした療育によって、お子様が安心できる居場所をつくり、お子様が自信を持て、チャレンジできる心を育んでいきます。

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症(ADHD:Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)は、不注意、多動性、衝動性という3つの特性が、年齢や発達に不相応な形で現れ、日常生活に支障をきたす状態を指します。発達障害支援法では発達障害の一つとして定義されています。

ADHDの3つの特性に見られる主な症状

不注意
集中力の欠如、忘れ物が多い、気が散りやすい、指示に従えない など
多動性
じっとしていられない、落ち着きがない、過剰に動き回る など
衝動性
順番を待てない、衝動的に発言する、人の話を遮る など

ADHDの治療法

ADHDの治療は、症状の軽減と生活の質の向上を目的として、多角的に行われます。主に心理社会的治療(環境調整・行動療法・ソーシャルスキルトレーニング・ペアレントトレーニングなど)や、薬物治療などから、年齢、発達段階、症状の程度、そしてご家庭の状況に合わせて、最適な治療法を選択することが大切になります。そこで何より重要になるのが、周囲の理解とサポートです。

限局性学習症(SLD)

限局性学習症(SLD: Specific Learning Disorder)とは、知的な発達に遅れがないにもかかわらず、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するといった特定の学習能力の習得と使用に著しい困難を示す発達障害の一つです。

また、SLDは知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)など他の発達障害と併発することもあります。

SLDの3つの特性に見られる主な症状

読字障害
文字を正確に読むことができない、読解の際に文字飛ばしや順番を入れ替えて読んでしまう、読む速度が遅い、文章の意味を理解することが難しい など
書字障害
文字の形が歪んでしまう、文字の大きさが不揃いである、鏡文字を書いてします、書き順が間違っている、書く速度が遅い など
算数障害
数の大小を理解することが難しい、計算ミスが多い、九九を覚えることができない、図形を認識することが難しい、文章題を解くことが難しい など

SLDの療育方法

SLDでは個々の症状に対して、個別の介入・支援方法を検討します。ただし、クリニックで治療できることは限られるため、家庭や学校との連携が鍵です。
まずはSLD症状を保護者と学校の教員に知ってもらう、理解してもらうことが第一に必要になります。
当院では以下の療育を行っております。

カウンセリング
適切なカウンセリングにより、家庭や職場などの周囲環境のサポートを整え、学習の負担を軽減する。
教材・教具の工夫
文字の大きさや太さ、行間や色使い、簡素なイラストなどを活用して視覚的に学習の負担を補助する。
IC機器の活用
音声読み上げソフト、音声入力ソフトなどの活用により、学習の負担を軽減する。